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May 15, 2023
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人間はどのようにして立体感を感じるのか? ~立体視の生理的要因~

CROの髙橋です。人間が立体感を知覚する要因のうち、視覚器官である眼によって得られる5つの生理的要因について説明します。

① 水晶体の調節

人間が物体を観察するとき、眼の水晶体の厚みを調節して物体にピントを合わせます。遠くの物体を観察するときは水晶体を薄くし、近くの物体を観察するときは水晶体を厚くします。この水晶体の厚みの調節量から、立体感を得ることができます。一般的に水晶体の厚みの調節によって、0.1m~2mぐらいの範囲で奥行きを識別できますが、それより遠い範囲では奥行きを識別できません。

② 両眼の輻輳角

人間が物体を両眼で注視するとき、眼球を内側に回転させます。これを輻輳といい、物体と両眼の視線とのなす角を輻輳角といいます。下図において,輻輳角𝜃と人間の両眼間の距離である眼間距離𝐸がわかっている場合、視距離を𝐷は三角測量の原理で求めることができます。輻輳角𝜃は、眼球が内側に回転した角度から求めることができます。人間は、眼球を内側に回転させる筋肉の緊張度合い(内側への回転角度)によって対象物体との距離感をつかみ、立体感を認識することができます。一般的に、20m以上離れた物体に対してはほとんど効果を与えないことが知られています。

③ 両眼視差

物体を両眼で注視したとき、注視点は両眼の網膜の中心に一致するように網膜上に結像されます。しかし、注視点以外の部分が左右の眼の網膜上に結像する位置は、視距離に応じて位置ずれします。この現象を両眼視差と呼び、網膜像の位置ずれにより立体感を得ることができます。

④ 単眼の運動視差

動いている列車や車から景色を眺めたとき、観察者に近くの物体は速く、遠くの物体は遅く動くように見えることから視距離を判断することができます。片眼で物体を観察するとき、物体または視点のどちらかが移動すれば網膜像に差異が生じ、両眼視差と同じような効果が得られます。この現象を単眼の運動視差と呼びます。

⑤ 取り込み効果

IMAX映画のような視野角の広い(ディスプレイの端が見えないような)大画面ディスプレイで2D映像を観察すると、観察者はその映像空間内に取り込まれるような錯覚に陥り立体感を得ることができます。このような効果を取り込み効果と呼んでいます。

これらの立体視の生理的要因を利用してやることで3Dディスプレイを実現することができます。これら①~⑤の中で両眼視差が最も大きな効果があり、また実現することが簡単なので、3Dディスプレイに広く用いられています。

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